白い蛇

栃木県栃木市

ある年の暮れ、正月の餅を搗く夫婦があった。嫁さんが捏取りをしていたが、臼の中のキッソゲが爪にささったので、そのキッソゲを口にくわえて取り除いた。それをつまみ食いに見間違った婿が、逆上して杵で嫁の頭を殴ったので、嫁は死んでしまった。

そのいまわの際に、嫁はこの家の者を皆とり殺してやる、と恨み死んだ。それからこの家の梁には白い蛇が這うようになり、噂は村中に広がった。そして、怨霊の祟りは恐ろしく、ウチゴには不幸が重なり没落してしまった。

『都賀町史 民俗編』より要約

概ねこういった話は、家の没落があり、遡って外部でその原因が創作されるので、つまみ食いで殴り殺された嫁、というのはそうであってもなくてもよい、というほどのものだろう。しかし、これが正月餅に関係している、という点は気になる。