弁天様と道祖神

茨城県つくば市

道祖神はみにくい顔で、しかもびっこの神様であった。あるとき弁天様に恋して、いいよったが逃げられてしまった。あきらめられない道祖神は弁天様を追いかけた。弁天様は逃げまわり、とうとう池の中の島へ逃げ込み、一本の丸太の橋だけ残しておいた。丸太の一本橋では、びっこの道祖神には渡ることができないのである。仕方のない道祖神は道の曲がり角に立って、弁天様の出て来るのを待っているという話だ。

茨城民俗学会『茨城の民俗5』より

弁天さんに岡惚れした道祖神さんが、このように一本橋で拒絶されるという話は北関東(特に常陸・下野)に多く語られる。道祖神さんが「三本脚」になったりと艶笑譚にもなりやすい話だ。それそのものはまた追うが、ここでは他の話から参照するために最もシンプルなものを載せた。