横川滝

茨城県高萩市

昔は気持ちの悪いほど木々が茂っていて、人も行かなかった横川滝だが、話を聞いて、水戸の黄門さまが来た。黄門さまは家来の助さん、格さんを連れてきたが、滝には一人で入った。たいした水も落ちていないように思えたが、奥には水は流れておらず、石の段の上にお姫様がいた。

姫は何をしに来た、といい、黄門さまは、入って帰ったものがないというから見に来たと答えた。すると姫は、今度は帰してやるから、二度と来るな、と言った。しかし、黄門さまが帰ろうとして見ると、今度は水がものすごく落ちていて、出られない。

外で待っていた助さん、格さんが、隠居さん何してんのか、と思って、迎えに入って助け出したので、黄門さまは滝から出られたのだという。

高萩市教育委員会『高萩の昔話と伝説』より要約

類話には、水戸様が出口を探すうちに三年たったというようなものもあり、三陸に行くと増える竜宮淵の話に近い。姫は水戸黄門だから帰してやるが、と帰したという。滝淵のヌシも天下の副将軍には一応敬意を払うのだろうか。