大北川の主は龍か蛇(じゃ)の男性の主で、磯原の海の主は鮑の女性の主で、その鮑が年にいっぺん、大北川の主に逢いに上がってくるんだけれども、それを、両方の主がいっしょに、その、おうせを楽しんだ所が、逢いこ滝っていう。
話者 鈴木藤太 下君田
逢いこ滝でのヌシの逢瀬の話で、山川滝淵のヌシを雄蛇とし、海からくるものを雌の鮑とする話。さらにある概要は「逢いこ滝・一」から追われたい。大北川可下流部に花園川が合流するが、その上流の花園の七ツ滝には鮑のヌシがいるというので、これはそちらの話とつながるものだろう。
実際、花園の七ツ滝の滝壺は、竜宮に通じているというが、また磯原の天妃山の浜(大北川河口)に通じているともいわれ、一連の話だと思われる。また、海の雌だから鮑だというと艶笑話のようだが、常州の海際には鮑神社が並び、大鮑が竜宮への門を塞いでいる、というイメージもある。あだやおろそかにはできない。