類話:大北川に扉淵っていうのがあって、右上に高い山があって、中段ぐらいの所に沼があって、広さは一〇メートル(四方)以上ある。
そごの大北川の主が、お姫様がいたんだが、水が少なぐなって、その、扉淵っていう所に入っていたんだというんだ。
この川の下に、横川滝っていうのがあって、その下に、逢いこ滝っていうのがあんだって。
鮫が(海から)横川滝まで上がってきて、川の主(お姫様)と逢引すんだって。
お姫様は大蛇で、女だったんで。鮫は男だったんだ。
話者 宇野茂 下君田
類話:今は滝らしくねえげんども、その時代には、どんどんどんどん、とでも見でもすごいほど流れたんですよね。そのとぎは、蛇(へび)とはいうんだけんとも、お姫様になって出るっちいうんですね、会うとぎには。
下がら上がってきんのは、磯原の天妃山(てんぴさん)の浜がら上ってくるそうなんですが、そんとぎには、それは亀だっていうんだけんとも。
※天妃山の浜=北茨城市大北川の川口の浜
話者 鈴木きの 横川