梅屋敷に土井の殿さまのお妾さんが囲われていた。お妾さんは猫が大好きで沢山飼っていて、中でも大猫が一番のお気に入りでかわいがっていた。あるとき、殿さまが来て、観梅をし、酒など飲んでいると、天井で物すごい音がした。
お妾さんの大猫の声が混じった大音があちこちと天井を移動した。これはただ事ではないと殿さまとお妾さんは外に出て庭から眺めていた。やがて音が静まり、日暮れになって迎えの部下たちが来たので、天井裏を探らせた。
すると、大蛇が大猫を締め上げ、大猫は大蛇の首に噛み付いたまま、双方死んでいた。大蛇が殿さまをとって喰おうとしたのを大猫が守ったのだった。そこで、猫塚を造って大猫を厚く葬り、けしからぬ大蛇は渡良瀬川に流した。