大山沼の大蛇 茨城県古河市 昔の利根川の土手は小さかったが、その辺に四斗樽といわれる蛇がいた。大山沼の辺で、かつては湖のような沼だった。そこに大蛇がおり、草刈りの女衆が襲われたりした。しかし村中総出で捜しても大蛇は見つからなかった。 それでも祟りがあっては困ると、ツジドメを六月にやるようになった。竹を二本さしてしめ縄はって、蛇が村へ来ないようにした。蛇や魔物が村に来ないようにという魔除けだった。 『古河市史 民俗編』より要約 大山地区は「ダイダラボッチ」が踏ん張って洪水を食い止めたが土地でもあったが、それでも氾濫の跡である池沼が広くあったという。土手の話が頭にあるように、大山沼がそうで、というより大山地区が干拓された大沼なのであり、長さは四キロもあったという。 この話は、しかし水の大蛇というよりは、厄のいろいろを蛇とした話のようだ。話にツジドメとあるのは関東では広く「みちきり(道切り)」というが、村里への厄の侵入を防ぐとして、恒久的にも、時節を区切っても、様々に設えられた。 必ずしもその厄を蛇という話が多いわけではないが(というよりも縄綱が蛇型に作られることもままある)、伊賀上野に西のみちきりである勧請縄で蛇を遮るという話がある(「長田の勧請縄の伝説」)。 ツイート