白蛇弁天様

原文

牛伏の公民館がある一帯を寺屋敷とよんでいます。昔、正覚寺という寺があったといいます。

その寺屋敷の西方に泉があり、そこに弁財天が祀られています。創建年代は詳らかではありませんが、現在、区の人たちによって管理されています。

お堂の建立について、次のような伝説があります。昔、この地に住むある家に世継ぎがありませんでした。そこで、近くの村から女子をもらい、養女として育てました。

ある朝、食事時になっても娘が起きてこないので、養母が部屋へ行き、布団を剥いでみると、男女が蛇のようにからみ合い交尾するような形でした。

そこで、娘を里に帰したともいい、また、思い余って命を断ってしまったとも伝えられています。

生涯を閉じた養女をあわれに思った村人たちは、お堂を建立して弁財天をお祀りしました。御神体には、白蛇のほりものと池の底より出土した貝の化石がなっています。

この弁天様は、旱魃の時、担ぎだし降雨をお祈りすると霊験があると伝えられています。

近年、近くの村の若者たちが雨乞いのため、お堂を担ぎ出しましたが、戻す場所を間違い、今は南の方に鎮座しています。

内原町史編さん委員会
『内原町史資料第3集 うちはらの昔語り』より