反四郎坂と白兎

原文

むかし、反四郎という人がいた。この人が冬のとある日、飯谷山に登る長い坂で一羽の白兎をみつけて、いざこの兎を討たんと銃をかまえたところ、その白兎から御光がさして反四郎の目をくらましてしまった。それとともに大きな音をたてて雪崩がおしよせてきて、あわれ反四郎はそこに生き埋めとなりやがて絶命してしまった。

この反四郎がたおれた長い坂を反四郎坂といって、坂の曲り角には清水が湧き出て、飯谷山方面に行く人々の憩いの場でもある。

その白兎は飯谷大明神のお使いなので、このあたりで猟はしないほうがよいそうだ。

あかべこさくら会『会津やないづの昔話』より