むかし、あるぜえの人が、春のあったけえ日に垣根をなおしておったっど。そこさ一匹のヘビがニョロ、ニョロと出てきたんだと。ヘビがでえきれえなもんだがら、とっつかまえで垣根さ動がんようにゆっつけちまったど。ほれがら、何日が日に照らされ、雨にぶたれ、風に吹かっち、とうとう長い白骨だけになっちまったったど。
夏が過ぎ秋が来てきのこの節がやってきたど。ある朝、ほの人が畑見まわって垣根んとこさ来てみっと、うまそなきのこがやまほどでておったど。とってきて村の人さみせだら、誰もみだごとねぇ判んねきのこだったど。むかしがらわかんねえきのこは食うなって言わっちてだから、いだましがったが裏の川さぶん投げちまったど。
ところが翌朝川さ行ってみっど、ぶん投げたきのこさコイや、フナや、ドジョウがあつばって食べていたど。これはぜえもん見っけたとなってな、網ですぐってきて焼いたり、煮だりして家中で食ったど。ところがみんな腹下りしてしめえにとうとうみんな死んじまったどな。
川俣 佐藤庄吉