ヘビのたたり

福島県伊達郡川俣町

昔、春にあるぜえ(ある家)の人が、垣根に出てきた蛇を捕まえて、動けぬよう垣根に結いつけてしまった。それから何日かして、蛇は雨に打たれ風に吹かれて長い白骨だけになってしまった。

夏が過ぎ秋が来て、きのこの季節になると、その垣根にうまそうなきのこが山ほど出ていた。しかし、村の誰も何というきのこかわからないので、わからぬきのこは食えぬ、と裏の川に投げ捨ててしまった。

ところが、翌朝見ると、鯉や鮒、泥鰌などが集まって、そのきのこを食べていたので、網できのこを掬って、焼いたり煮たりなどして家中で食った。そうしたら、皆腹下りしてしまいには死んでしまったそうな。

川俣町文化財保護審議会『川俣の昔ばなし』
(川俣町教育委員会)より要約

それがなぜきのこなのか。きのこに蛇の怨念を思わせるイメージがあるのか、というのも現状よくわからないが、各地によく語られる以上は何かあるのだろう。それがどのようなきのこをいっているのかという点を含めて、課題といえる。