深山さま 福島県伊達郡国見町 小坂に深山神社があって、養蚕が盛んなころ、繭がねずみに食われないように、深山さまに卵を上げた。すると、蛇が来て守ってくれるといって、卵を持ってった。 子供らは、学校の帰りに、その卵をすすったものだった。いやしいようだが、当時はお菓子も何もないし、皆で卵でもすすって行くか、となる。朝上げた新卵だから。 国見町教育委員会『国見の民話』より要約 七ヶ宿街道沿いに、今も深山(しんざん)神社はある。大きな榧の古木があり、これを藤が巻いているようで、藤の花の時期には藤の大木があるように見える。そのあたりも蛇の社というイメージになるゆえんだろうか。 深山神社は宮城県のほうにかけてよく見えるが、おおむね山の神を祀る社ということで良いようだ。それらが皆蛇だという話になるわけではないが、いわきの方まで下っても、山の神のお使いが蛇ということはある(「オチカミさまと安産」)。 勿論、よりいかにも蛇を使いとしそうな神社でも養蚕守護の使蛇は貸し出される。同国見町では光明寺のほうの御瀧神社の蛇(「お滝神社の絵馬」)などは、湧水池のお宮であり、いかにもという感じだろうか。 ツイート