姥神様

原文

古館の西、古町地内に姥神様と呼ばれている石の祠がある。桙衝神社の祭礼の際に、お假舎がここに設けられ、御神輿はここから発進して神社にお上りになった。

その後、大正の初頃より交通の事情や、小学校ができ、石段も急になったので、境内にお假舎を建てて、ここから出発するようになった。

姥神様は鹿島様に付いて来た神といわれている。祭神は蛭子神とある。夷神であり、宇賀神である。「宇賀神」が後に「ウバ神」に転化したのではなかろうか。

中世になって、桙衝神社の祭礼のたびに市が立ち、假舎にさがった神輿を中心に人々が各地より集り、祭礼のにぎわいを見せた市神様である。

昭和四十二年八月に、古町遺跡を発掘した場所は、姥神様の真北の地点で、数々の遺品遺物が埋納したことが確認された。

(話者 室内信定)

webサイト「ふくしま教育情報データベース」
古川明『長沼町の伝説』より