蛇嘗石 福島県郡山市 蒲倉の通立場の西の方に、蛇嘗(じゃなめ)石と呼ばれるほぼ一間四方の石がある。石の側面は深く凹んでいる。 昔、この沢に大蛇が棲んでいて、この石を嘗め続け、そのために凹んだ痕跡が残されたと伝えられる。(伝承地 蒲倉町:蒲倉町 橋本正二) 郡山市教育委員会『郡山の伝説』より 中通りにはこのような蛇石の伝がまま見える(現在あるのかは不明)。信州のほうでいう「剣磨り石」と同様のものと思う。信州では竜蛇が尾の剣で抉った穴というのを、舌で舐め抉った穴というわけだ。 月舘のほうには、そういった石がなかなか動かず、人の女の髪で綱をよって引いたら動いた、という樹木の精と蛇精の話の間をつなぐような伝説もあって面白い(「蛇なめ石のこと」)。 また、大蛇の舌で穴が開いたという点は同じながら、それを「蛇冠石」(じゃかぼり石)と呼んでいる例も、同郡山市は湖南のほうに見える。他地域で名だけ残っているような事例を見るのには、そういった変種も覚えておいたほうが良いだろう。 ツイート