瓜姫子

青森県上北郡七戸町

子のない爺婆が、瓜畑にいた女の子を連れて帰り、瓜姫子と名付けて育てた。瓜姫子が十六の時に、爺が蛇に呑まれそうな蛙を助け、蛇は代わりに娘をくれ、と言った。それで、瓜姫子は蛇に連れられ沼に行ったが、針千本を行李に入れていき、これを蛇の口に針を投げつけ難を逃れた。

瓜姫子が蛇から逃れてくる途中、助けられた蛙だという婆が出てきて、先に鬼の村があるから、これを着て行け、と皺の皮をくれた。これを着て行くと、鬼は、婆は食っても美味くない、と瓜姫子を放したので、瓜姫子は爺婆の家へ帰った。(『七戸地方の民話』)

『日本昔話通観2』より要約

『通観』上、青森県では蛇婿入りの話が最も多く、中で姥皮の話が最も多い。かなり突出しているので、好みの傾向といえよう。そういったわけで、瓜姫子(瓜子姫)の話が途中から蛇聟・姥皮へと変化していくような話もある。

しかし、これはそれにとどまらず、かなり象徴的な一話ともいえる。なんとなれば、姥皮の話は蛇の若者がその皮を脱いで英雄となる、東南アジアなどによく見えるが本邦にない話型と並べ考えるべき話と思う(多く、姥皮では姥皮を脱いだ娘が婆から美しい姫に変貌する)。

そして加えて、瓜姫子においては、多く(特に東国では)アマノジャクが瓜姫子の皮を剥いで被って、瓜姫子になろうとするのだ。この三者には何か通じるものがある。その話がつながったこの事例にはよくよく考えるべきものがあるといえるだろう。